
秋といえば……和菓子の中で、食べたい!と思うのは、やはり栗羊羹です。
ねっとりした羊羹の中に、ごろごろとたくさん入った栗がたまりません。
この季節は、「栗蒸し羊羹」が多いのですが、今回購入した両口屋是清の栗羊羹は、練り羊羹の中に栗が入っています。
蒸し羊羹と練り羊羹の違い
蒸し羊羹
小豆餡に寒天・小麦粉・葛粉などを加えて蒸して仕上げたもの。
もちっとやわらかく、やや水分を多く含んだ食感が特徴です。
できたてを楽しむ和菓子で、日持ちはやや短め。
練り羊羹
小豆餡と寒天、砂糖をじっくり煮詰めて練り上げたもの。
しっかりとした歯ごたえで、ツヤのある見た目と長期保存が可能なのが魅力です。贈答用にもよく選ばれるタイプですね。
これまで、栗といえば栗蒸し羊羹!と思っていたのですが、普通の羊羹に栗が入っているのも、とても美味しかったです。
栗蒸し羊羹はもちもちしていますが、栗羊羹はたしかに、なめらかで、なおかつ歯応えがしっかりしています。
栗羊羹はいつ頃から食べられている?
羊羹のルーツは、なんと「肉料理」。
「羊の羹(あつもの=スープ)」という意味で、中国の料理がルーツです。日本に伝わってきたのは、鎌倉〜室町時代。
これがいつ、甘いお菓子の羊羹になったのか。それは、室町時代に入ってからのようです。
肉を食べることができない禅僧のために、小豆など植物性の材料を使った一品が考案され、しだいに砂糖などが加えられたお菓子に変化していったのだとか。これが、現在の羊羹の原型です。
この頃は、小麦粉やくず粉を入れて蒸すタイプのものだった、つまり、蒸し羊羹の方が先に登場したということですね。
練り羊羹の登場(江戸時代)
現在主流の「練り羊羹」は、江戸時代中期ごろから作られるようになりました。
寒天が発明されたことで、煮詰めて保存できる羊羹が広まったのです。
保存性が高く、蒸し羊羹より日持ちがするので、贈り物にも適していたことから広く親しまれました。
栗羊羹・栗蒸し羊羹の誕生(明治末期〜大正)
栗羊羹がいつから登場したかについての明確な記録は少ないのですが、Wikipediaによると、明治時代末期に栗羊羹、大正時代に入ってから栗蒸し羊羹ができた、とあります。
羊羹自体の歴史は古いですが、栗を入れたものは比較的最近できたようです。
栗蒸し羊羹は日持ちしないので、この季節だけ楽しめる贅沢な一品です。
両口屋是清の栗羊羹

パッケージも秋らしくて、素敵です。
こちらの栗羊羹は、半竿で1,728円(税込)。
例年、9月〜翌年の1月くらいまで販売されています。
栗蒸し羊羹ではなく栗羊羹なので、保存期間が長く、お日持ちは製造日から60日です。

このくらいの大きさでも、すごく食べ応えがあります。
日持ちするので、毎日少しづつ、ゆっくり楽しめるのが◎。
まとめ
羊羹は鎌倉〜室町時代に中国から伝わり、肉が食べられない禅僧のために、植物性素材で作られたのが始まりです。
砂糖が使われ出したことにより、今の羊羹の原型ができました。
栗を使ったぜいたくな羊羹は、大正時代に入ってから考案されたもので、今では秋を感じられる定番のお菓子となっています。