
和菓子は甘いもの。そこに、ごぼう!?
この組み合わせは、脳がいったん止まるような違和感があります。
けれど、その違和感こそが花びら餅の入り口で、魅力の核心でもあるのです。
花びら餅の存在を知ったのは、40歳も過ぎてから。
会社の後輩が、「お正月はやっぱり花びら餅ですね」といわれたことがきっかけで知ったのですが、名前からしてかわいらしいので、絶対に食べてみたいと思ったことを覚えています。
そして、実際に買いに行ってみると……見た目もかわいらしかった。
しかし、こんなにかわいいお菓子なのに、なぜごぼうなのか。
その答えを知りたくて、花びら餅について調べてみました。
なぜ花びら餅は正月のお菓子になったのか
花びら餅が正月に食べられるようになったのは、宮中の儀式と、長寿を願う文化と関わりがあります。
そのルーツは、宮中で新年に行われた「歯固めの儀」。
固いものを食べ、歯や身体の健康を願う行事で、そこで供された食が、花びら餅の原型につながっているといわれています。
そこから「菱葩(ひしはなびら)」と呼ばれる形を経て、今の花びら餅へ。
つまり花びら餅は、甘さを楽しむためだけのお菓子ではなく、一年を健やかに過ごす願いを込めた、お菓子として受け継がれてきた存在なのです。
花びら餅の中身は、全部意味がある
花びら餅が美しいのは、見た目だけではありません。中身の一つひとつに、きちんと意味があります。
まず、白い外側。

↑こちらは、「銀座あけぼの」の花びら餅です。
白は清らかさの象徴であり、新しい年の始まりを思わせます。このお餅がやわらかくて、すべすべしてる。お正月の特別感がありますね。
次に、中の紅。

↑こちらは「神楽坂梅花亭」の花びら餅です。「銀座あけぼの」より、紅が強いです。
透けるような淡い赤は、祝い・めでたさを表す色です。紅白という組み合わせだけでも、おめでたい。
薄いピンク色のかわいさといったら。
そして、味噌餡。
花びら餅に用いられる白味噌あんは、甘さの中に塩気があり、甘いものが苦手な人でも食べやすいかも。
この甘じょっぱさがたまりません。
そして最後に、メインのごぼうです。
大地に深く根を張り、まっすぐに伸び、折れにくい。ごぼうは、長く生きることの象徴として語られてきました。
甘い菓子の中心に、あえて土の香りを忍ばせる。この一本があることで、花びら餅は「かわいい正月菓子」ではなく、「願いのある正月菓子」になります。
食べてみてわかる「ごぼうの役割」
ごぼうといえば、きんぴらとか、煮しめとか、あとは豚汁でしょうか。
「甘い」印象はない食べ物です。きんぴらは甘じょっぱいけど、醤油の味が強いですからね。
あんこと一緒に食べるごぼう。最初は違和感があるのに、噛むほどに合ってくる。
これが、なんとも不思議なのです。
あんことごぼうなんて合わないのでは?と思っていたのは、単なる先入観だったみたいです。
これこそが、花びら餅の魅力でもありますから。
ごぼうの役割は、甘さを引き締めること。べたべたに甘くならないのは、ごぼうのおかげかもしれません。
まとめ|花びら餅は厳かな正月のお菓子
花びら餅は派手ではありません。
けれど、意味が深い。
白と紅のめでたさ、味噌餡の滋養、そしてごぼうの一本が象徴する「まっすぐ生きる」願い。花びら餅は、まさにお正月にふさわしいお菓子でした。
年のはじめに、ゆっくり味わいたい一品。
お菓子にごぼうという違和感は、いつのまにか「なるほど」に変わる。花びら餅は、そんなふうに一年のスタートを整えてくれるお菓子です。
